三丁目番外地-離れ-

ロクなことは書かない

#7 それは自転車の乗り方や泳ぎ方に似ていて

音楽、特にメロコアやパンクロックと呼ばれるジャンルが好きだという前置きをした上で少しだけ思い出に縋るお話。

テレビの歌番組で流れるような曲しか聴いていなかった中学生の頃、何気なくつけたMTVから流れてくるミュージックビデオを見て脳天に雷が落ちた。

youtu.be

「なんだこれっ!?」

デケデケとうるさいギターの音、バチバチ鳴るドラム、全てが新鮮で衝撃を受けた。

これがパンクロックとのファーストコンタクト。

その頃MONGOL800のMESSAGEというアルバムが話題になり、少しずつロックへの興味が芽を出しかけていたところに止めを刺された翌日、なけなしの小遣いを握りしめCDショップへ駆け込んだ。

それからというものの、学校から帰ってひたすらMTVとスペースシャワー、それとM-ON(当時はViewsicだったかな)に齧りつく日々。

お世辞にも勉強が得意と言えなかったので、地域の中の中な高校へ何となく進み、人付き合いを好まない性格と思春期特有のハスりを存分に発揮して悠々自適なぼっち高校生活を謳歌していた。

高校2年になった頃、また一つ転機が訪れる。

数少ない友人とたまたまゲームセンターへ行った。

友人がプレイするギターフリークスというコナミ音ゲーをぼんやり眺めていた時、そいつが選んだ曲のイントロを聴いた瞬間またあの雷が落ちた。

youtu.be

「なんじゃこりゃぁ!?」

パンクロックに目覚め、高校に入りいわゆるロキノン系と呼ばれるロックにようやく馴染んできたところに新たな出会い。

すぐさまゲームセンターを飛び出しCDショップへ走った。その時カバンを忘れて後で友人に届けてもらった恩はいまだに忘れていない。

家に帰ってCDラジカセの再生ボタンを押す時のあのワクワク感て何なんだろう。

バンドのホームページを開き、ライブ予定を見てみるとちょうど地元に来ることを知った。

当時はメール予約といって、バンドにメールを送りチケットを取り置きしてもらい、ライブハウスの受付でチケット代を払うというシステムが普通で、「本当に入れるんだろうか」という一抹の不安とワクワクを抱えてライブハウスへ足を運んだ。

ライブが始まり、全てが初めての体験だった。

耳がキーンとなるデッカイ音、人が人の上を転がるフロア、ステージから飛んでくる汗。

「ああ、CDで聴いていた曲が目の前で聴けるんだ」

「ライブってすげえな、ライブハウスって楽しいな」

そんなことを考えながら耳鳴りともみくちゃになってだるい足を引きずりながら家に帰り、泥のように眠りについた夜のことを今でもハッキリと思い出せる。

これがHOLSTEINというバンドとライブハウスとの出会い。

こうなると回りだしたオタク気質は止まることを知らず、インディーズバンドを漁る日々が始まった。

HAWAIIAN6locofrankdustboxOVER ARM THROWとかもこの時期に知ったんだったかな。

どのバンドを聴いても、何をするわけでもなくぼんやりと過ごしていた高校生にとっては全てが新鮮で色鮮やかだった。

そしてルーツを辿りHi-STANDARDへ行き着いた。

youtu.be

当時はもう活動を止めていて、それでもSTAY GOLDを聴いた時のドキドキ感とワクワクは覚えている。

もうブリッジミュートとツービートで脳みそが一杯になっていた。

 

ハイスタと双璧を成して高校時代、はては今に至るまで自分の核になったバンド。

ELLEGARDEN

その時のロッキング・オンJAPANを読むとほぼ毎月BUMP OF CHICKENRADWIMPSASIAN KUNG-FU GENERATIONと並んでエルレの名前を見ていた。

ボーカルの細美武士氏の髪型を真似したり、せっせこ貯めたバイト代でSKULLSHITのTシャツを買いに渋谷の裏路地まで行ったり。

ツアーが発表されるたびチケットが取れずに歯痒い思いをしたり。

自分の中でヒーローだった。

結局2008年に活動休止するまで一度もライブを見に行けなかったんだけどね。

それから10年後、夢が叶ったお話はまた別の機会に。

youtu.be

多感な時期に出会った物って、大人になってもずっと好きなんだなと改めて思う。

AIR JAM 2011のSTAY GOLDも、2018年千葉マリンで聴いたSupernovaも、自転車の乗り方や泳ぎ方のように身体が覚えていた。

「ああ、あの時感じたワクワクだ」

いくつになっても忘れたくない気持ち。

これをカタカタしながらいろんなことを思い出した。

得も言われぬエモさってこういうことなのかな。

たまには思い出に縋り付きたくなる時もあるよねというお話でした。

んじゃまた。